記事掲載日:2013年12月17日 神話の終わり、人の物語

 まずはじめにですが、本レビューではネタバレはしません。未プレイ者でも安心して見ていってください。また、私のプレイ状況は、とりあえずNORMALを1週クリア済みという状態です。以上を踏まえてご覧ください。

01 ライトニングリターンズ ファイナルファンタジー13とは

 ファイナルファンタジー13、ファイナルファンタジー13-2から続く作品として発売されたのが、このライトニングリターンズ ファイナルファンタジー13(以下LRFF13)です。続編ものなので上に挙げた二作はプレイしていることが前提のストーリーとなっています。未プレイ者は確実に「誰こいつ?」ってなるので注意。FF13-2ではFF13をプレイしていない人でもストーリーが分かるような仕様だったんだけどなー。
 とにかく、本作は過去の二作をプレイしていることが前提なので、本レビューも過去二作をプレイしていることを前提として書きます。つまりこれからFF13、FF13-2をプレイする予定の人はこのレビューは見ないことを推奨します。もちろん過去二作についてもネタバレするつもりはありませんが、うっかりという可能性があるので一応ね。

システム

 今回は、「システム」「ストーリー」「戦闘」「音楽」に焦点を当ててレビューしていきます。まずは「システム」から。
 LRFF13はオープンワールドと呼ばれる部類のゲームです。オープンワールドって何と思う人もいると思います。とりあえず一言で説明すると「自由」です。主人公(プレイヤー)は広大な世界に放り出され、どこに行くか、何をするかは自分次第。攻略の順番や、そもそも攻略するのかしないのかの選択もプレイヤーが判断する。オープンワールドとはそのようなゲームのことを示します。手さぐりの攻略から来る「冒険してる感」が味わえるタイプのゲームです。もちろんLRFF13もそのような作りになっています。従来のFFシリーズと比べると、オープンワールドというのは珍しいので面食らうプレイヤーも多いかと思いますが、まぁ何とかなります。
 次にゲームの内容についてですが、このゲームには時間制限があり、世界が滅びるまでの残りの13日までに「メインクエスト」と呼ばれる目的を達成することがクリアの条件となっています。「メインクエスト」の他には、クリアする必要はないが能力値UPやお金といった報酬がもらえる「サブクエスト」、「祈りのキャンバス」が存在します。リアルタイムで過ぎていく時間の中、これらのクエストをこなしながら13日を過ごすというのがLRFF13の内容です。クエストには、「かけっこで勝て」だとか「敵を倒せ」だとか色々なものがありますが、ほとんどのクエストは「~を持ってこい」というものになっているので、俗にいうお使いゲーになっているというのは否定できません。
 また、上では13日の時間制限があると書きましたが、ゲーム開始時は13日もの猶予はなく、7日間で世界が滅ぶことになっています。猶予はクエストをこなすことによって伸ばすことができ、13日というのは最大まで伸ばした場合の猶予です。猶予となる残り日数は常に右上に表示されているので、プレイヤーは残り時間を意識させられ、常に焦りながら攻略することになります。そのためプレイヤーの中には時間制限が面倒くさいと感じる人も多いかもしれません。私も時間に追われるのは好きじゃないので面倒に感じたのですが、実際は時間制限にはかなりの余裕があるので焦る必要はありませんでした。

 以上、一通りのシステムについて挙げましたが、まとめると「オープンワールド」や「時間制限」といった従来のFFシリーズとは違った要素が詰め込まれたシステムがLRFF13では採用されているということでした。FFはナンバリングごとにシステムが大きく変わるのが恒例だけど、本作は変わり方がいつも以上に大きい印象です。

ストーリー

 主人公のライトニングが神様の使いとなって人々を助け魂を解放していくというストーリー。FF13、FF13-2から続くストーリーなので、過去二作のストーリーが合わなかった人は本作も合わないと思います。開始時点から既に世界が滅びることが確定しているため明るい雰囲気とは言い難いのですが、和むようなシーンもあるので終止暗い雰囲気というわけでもありませんでした。また本作は過去二作の印象的なセリフを引用しているシーンが多々あり、ニヤッとしてしまうような場面も。
 気になったのはメインストーリーのボリュームの少なさ。オープンワールドゲームの宿命と言ってもいいと思うのですが、サブクエストのストーリーに押されてメインストーリーが少なくなってしまっているという印象でした。別にゲームそのもののボリュームが少ないというわけではないので特に悪印象はありませんでしたが、オープンワールドの悪い面が顕著に出てしまった感じでした。
 登場人物ですが、過去二作の主なキャラクターはほぼ全員出てきます。メインとなるキャラクターはライトニングとホープの二人です。拠点にいるホープとの無線での会話により話が進みます。次に何をするか、どこに行けばいいかということもホープが教えてくれるので親切な作りになっていると感じました。ただしそれはメインクエストに限定した話で、メイン以外のクエストについては、どこに行けばいいかということはほぼ自分で考える必要があります。中には少し不親切すぎるのではないかと思われるクエストもあったため、ここは賛否両論あっても仕方ない部分だと思います。
 ラストはネタバレになるのであまり触れませんが、王道な感じで良かったです。うまくまとめたな、というのが率直な感想でした。

戦闘

 FF13とFF13-2は似た戦闘システムでしたが、LRFF13の戦闘は完全に刷新されていて、よく言えば新しい、悪く言えばFF13・FF13-2経験者泣かせな戦闘になっています。戦闘メンバーが三人から一人に変わったのだからシステムが変わるのも当たり前と言えば当たり前なのだけれど。
 まず前作までのオプティマやパラダイムシフトに当たるものとして、「スタイル」というものが用意されています。このスタイル一つに最大で4つまでアビリティをセットすることができ、セットするアビリティによってスタイルの特性を自分で決めていきます。ちなみにアビリティは、物理系、魔法系、弱体・妨害系、ガード系の4種類があります。スタイルは3つ作ることができ、その3つはそれぞれ独立したATBゲージを持っています。ATBゲージを消費することによってアビリティを発動させるのは前作までと同じですが、本作では使用していないスタイルのATBゲージが高速で回復するようになっているので、前作以上にスタイルの切り替えを頻繁に行うことになります。
 前作までの「チェーンゲージ」・「ブレイク」のシステムは「ノックアウトウェーブ」・「ノックアウト」に変更されました。ノックアウトウェーブはチェーンゲージとは異なり、心電図のような波形が表示されるものになっています。攻撃をつなげることで波が高くなり、どんどん波を高くすることでノックアウトする、という仕組みです。チェーンゲージではゲージの蓄積が数値で表現されていたため、ブレイクまであとどのくらいかというのが数値で把握できたのですが、ノックアウトウェーブは数値化されておらず、どの程度波が高くなったかといった見た目の情報から読み取らないといけなくなったため、難化したといえるでしょう。
 次に難易度。前作までと同様に戦闘の難易度選択がありますが、これは仕様が変わり、途中からの難易度変更ができなくなりました。ちなみにスタッフインタビューによると「とにかくEASY推奨」だそうです。私は悩まずNORMALで開始したところ、最初のメインクエストボスに3時間かける羽目になりました。しかしその後はスムーズに進んだので私はNORMAL推奨と言っておきます。
 更に前作からの変更点として、戦闘が終わってもHPが回復しないという点があります。EASYだと時間経過によりHPが回復するらしいのですが、NORMALの場合はそれさえもなし。致命的な一撃を食らうと、HPが回復しないために後に引きずることになります。もちろん「ケアル」といったアビリティは使えないので「ポーション」などの回復アイテムが重要になるのですが、回復アイテムも持てる数に制限があります。このようにHP周りが非常にシビアになっているので、一戦一戦が気の抜けない戦いになっています。個人的にはこのキツさが結構ハマったので、本作の戦闘はかなり評価しています。シリーズでもトップクラスに面白い戦闘でした。

音楽

 まず音楽の数ですが、サントラを見る限り70以上の音楽が使われているようです。しかし、FF13やFF13-2と比べて耳に残るような音楽は少ない印象でした。システムの大幅な変更に合わせて音楽の方の雰囲気も大幅に変わったのかな?特にFF13-2のようなボーカル入りの曲は明らかに減っていました。別に音楽が悪かったわけではないのですが、満足もしなかったというのが感想です
 評価する点としては、頻繁に町のBGMを変えたりして耳を飽きさせないような作りになっていた点です。LRFF13では4つの地方があるのですが、もちろんそれぞれBGMが異なります。更にその地方の中のエリアごとにBGMが違い、戦闘BGMも変わります。強敵との戦闘限定ですが、戦闘BGMは自分が優勢になりあと一歩で勝利という場面になると、そこでもBGMが変わります。それに加えて時間帯によってもBGMが変わるので戦闘の音楽、町・ダンジョンの音楽だけでも相当な数になります。しかし、これだけのBGM切り替えを行うとなると70曲程の音楽では足りないのか、FF13とFF13-2から音楽を流用している部分も多いです。まぁたとえ流用だろうといい曲であることに変わりはないので、私は構いませんけどね。

まとめ

 やりごたえのあるゲームでした。FF13が相当に難易度の高いゲームだったので本作でも覚悟はしていましたが、最初のボスに3時間かけさせられるとは思わず…。しかし苦戦するのも慣れるまでで、基本がつかめてきたら後はサクサクでした。本作の特徴としては、やはり「戦闘の面白さ」があると思います。慣れによる自身の上達を実感できた時の気持ちよさは格別です。ストーリーも過去の二作品をプレイしたのであれば楽しめるものになっていて、エンディングでは目頭が熱くなるようなシーンもありました。システムが大きく刷新されたため過去作品をプレイした人からすると手を出しにくいかもしれませんが、ぜひプレイしてほしい作品です。

スクリーンショット

 最後に、ゲーム画面のスクリーンショットを少しだけ紹介します。見たくないという方はここでストップです。

02
03
04
05
06